SSブログ

アイ ハブ ア ドリーム [亜米利加生活]

1月16日(月) -すっかり日付書くのを忘れとった。

今日は、マーチンルーサーキングJRの日で、証券取引場がお休みの為、銀行や証券会社を始めお休みの会社が多い中、私の勤務する会社は通常通りの営業と来てる。祝日に休まないとはどう言うこった。と言う訳ではないが、私は一日お休み戴いてその分ヌーヨークでゆっくりとさせて戴きやした。1月4日から13日まで出張だったんだ。1日位休んでも良いでしょ?

国の祝日だけど会社は営業すると言う祝日は他にもある(コロンブスデーとかプレジデントデーとか)。が、マーチンルーサーキングJRの日を休まないのは、会社がノースカロライナ州にあるからかなあ、と言う気もする。

う~む。先週末のヌーヨークのラブラブの様子を書いても良いのだが、追々書く事にして、今日はやはりこれを書かずにはいられない。少々歴史系の硬いお話になりそうなので興味の無い方は飛ばして又後日お越し下さいまし♪ 

マーチンルーサーキングJRの誕生日は、1月15日らしいが、日本も導入した様に、週末に付けて3連休にする為、毎年1月15日近辺の月曜が彼の生誕を記念して祝日になる。驚くのは祝日として制定されたのが1986年だとか(しかも休まない会社もあるんだからさ)。つい20年前の事だ。彼は、アメリカ公民権運動、最大の指導者で、全ての人種の平等(特に奴隷だった背景から人種差別を受けていたアフリカンアメリカン)を非暴力で訴えた人。

アメリカ独立宣言の冒頭にある通り、アメリカは*自由と平等*を訴えイギリスから独立した。
‘全ての人間は平等につくられている。創造主によって、生存、自由そして幸福の追求を含むある侵すべからざる権利を与えられている’。植民地としての‘耐え忍んできた苦難’から開放され、生存、自由、幸福の追求の権利を主張する為に。

’全ての人間‘と言ってるのに。この独立宣言から、奴隷貿易の禁止と言う草案の1項は完全に抹消され、又、ファーストネーション(先住民―ネイティブアメリカン)の権利も考慮されていない。植民地としての耐え忍んできた苦難から開放される事を主張する一方で、奴隷として強制連行されたアフリカンアメリカンや、土地を剥奪された先住民への苦難からの開放の考慮は全く無い。自分達だけ良ければ良い。自分達が自由を手に入れれば、手段は選ばない、とでも言うのか。

この独立宣言に、何となくアメリカに未だに深く根付く根本的カルチャーを感じるのは、私だけであろうか。 (ここから以降も私の独断と偏見による文もあるのでお許しを)

この時独立した州は13州(ニュー・ハンプシャー、マセチューセッツ、ロウド・アイランド、コネティカット、ニュー・ヨーク、ニュー・ジャージ、ペンシルヴェニア、デラウェア、メアリランド、ヴァージニア、ノース・キャロライナ、サウス・キャロライナ、ジョージア)出身の人々の意識は、他の州出身のアメリカ人とかなり違う、と私は感じる。

私は東京生まれの東京育ち。私の母も母の両親も東京出身。父は長野なので、そう言う意味であたしゃハーフなんだけど。それでも自分は、生粋の東京人と自負している。田舎から出て来て東京に住んでる人とは違うぞ、と。何て言うか、この13州出身の特にWASP(ホワイトアングロサクソンプロテスタント)の人々に、私の東京人としての自惚れと同等の感情を感じる。‘俺らが真のアメリカ人だぞ’、みたいな。

ノースカロライナはこの13州の一つだったんだけど。 いわゆる南北戦争で、奴隷存続を主張した南部諸州の11州の一つでもある(ノースカロライナ、サウスカロライナ、ミシシッピ、フロリダ、アラバマ、ジョージア、ルイジアナ、テキサス、バージニア、アーカンソー、テネシー)。結局、多数の死者を出してこの市民戦争は北部側の勝利で幕を閉じ、私の尊敬するリンカーン大統領が、奴隷解放宣言をするのだが。

独立13州の出身の人々の意識は他の州の人々と違うと前述したが、それに更に追い討ちをかけるのが、この‘勝利’を得た北部の州の人達の‘南部’に対する意識の低さ。敗者を見下す的態度、と言ったら良いのだろうか。その意識が、黒人に対する差別、と言う形で現れてる様に思うが、黒人に対する差別以前に、この*南部*に対する差別意識、と言うか、北部の人達の南部に対する心の壁は物凄く高くて固い、と言うのを、独立13州でありながら南北戦争で敗戦したノースカロライナに住んでいて痛感する。私の周りにはニューイングランドから移り住んで来た人が多い。皆口を揃えて言う。最初はバージニアから南は行きたくなかったんだ、と。

ちょっと。南北戦争って、もう130年位前の話。。でもたった130年前の話。祖父母の時代位なわけで。その時に、敵と見方で別れて戦った、と言う意識が未だに奥深く根底に流れているアメリカ。 (それじゃ、例えばカリフォルニアとかニューメキシコ州は何でしょね? 答え:意識外。因みに、メキシコ人は未だにカリフォルニアはメキシコと思ってる人多いです)

去年ハリケーンカタリーナで多大な被害を受けたルイジアナ、テネシー、アラバマは、ディープサウスと言われ、南北戦争ではこの南部に属する。余りにも政府の対応が遅く、その様子は日本でもTVでニュースになったと思うけど、政府の対応が遅いのは被害にあった殆どが黒人だから、と言ってる記事を何度も目にした。私は、それ以前の、北部(アメリカ政府)の南部の意識の低さから来る、と思う。

皮肉にも、その奴隷制存続をかけて戦って負けた南部の州からマーチンルーサーキングは登場する。全ての人種の平等を訴えて。 1963年、ワシントンDCへ大行進を行い、リンカーン記念塔の前で有名な演説をする。

それが、今日の題名に使った‘I Have A Dream’. 私には夢がある。

彼が訴えた夢は、アメリカンドリームに深く根ざした夢。全ての人間は平等であると言う信条を真実にする日が来ると言う夢。かつての奴隷の子孫とかつての奴隷を所有した者の子孫が同胞として同じテーブルにつく日が来ると言う夢。彼の4人の子供達が肌の色ではなく内なる人格で評価される国に住める日がいつか来ると言う夢。

それから40年余り。その夢は実現してるかと言うと・・。法律上は実現してるとは言え、人種間や地域間の心の垣根は未だ高い。何しろ南北戦争を未だ引きずっているんだからさ。

今日、ニューヨークを飛び立った直前、空の上からマンハッタンを見下ろす。自由の女神が小さく見えるが、右手に掲げる金色の炎は夕日に映えて輝いている。マンハッタンに立ち並ぶ高いビル群の中で、平地になってる元ワールドトレードセンターの跡地が一際目立つ。そこに新しく建てるビルの名前は、Freedom Tower(自由の塔)と聞いている。自由の女神、自由の塔。自由、自由、自由、はアメリカンドリームの象徴。神の下、全ての人々が平等である様に、全ての人々にとって平等な世の中が来ない限り、本当の自由、とは呼べないのだろう。 たくさんの人種を抱えたアメリカは、その自由を国として実現できると言う恵まれた環境(とそれだけのチャレンジ)を内に秘めている。

アメリカに住むマイノリティーとして、人種間、地域間の心の垣根を低くできる様に、微力ながら貢献できたら良いな、と思っている。そしてディズニーのイッツアスモールワールドの子ども達のように、人種に関係なく手をつなぎあって楽しく一緒に歌える世界になれたら・・その先陣のアメリカ合衆国であって欲しい・・・・・これが私の夢♪


nice!(1)  コメント(3)  トラックバック(0) 
共通テーマ:地域

nice! 1

コメント 3

hayabusa

うーん。中々思想に富んだ一種哲学的でもある文章に驚きました。ヌーヨークでの生活コメントを楽しみにしています。
by hayabusa (2006-01-17 16:33) 

naichi

素敵な夢ですね 
by naichi (2006-03-15 14:01) 

Zunko

naichi さんへ、
有難うございます。
by Zunko (2006-03-17 11:56) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

明日からニューヨークヌーの話 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。